2016-01-01から1年間の記事一覧

2016年9月の読書

2016年9月の読書メーター読んだ本の数:3冊読んだページ数:915ページナイス数:23ナイス岩波データサイエンス Vol.3の感想因果推論の特集。岩波もこういう形で時流に乗っているのかあ。ビジネスに近いところの話がけっこうあって、読み物としては面白い。で…

2016年8月の読書

2016年8月の読書メーター読んだ本の数:2冊読んだページ数:468ページナイス数:9ナイス廃駅ミュージアムの感想近所の廃駅を探すのは面白そうだけど、いつかいくかなあ。それよりも廃駅だから心に残っている昔の風景を思い出して浸る方がいいいな。小さい頃…

電車と風呂 寺田寅彦

「電車と風呂」寺田寅彦大正時代に既に満員電車というものが日常的に起きていたことに驚く。 こういうエッセイがあること自体、昔から東京は人が多かったのだと思わさせら れる。東京が江戸時代から大都市だったと言われる所以である。 「こう考えると日本の…

2016年7月の読書

2016年7月の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:1214ページナイス数:12ナイス優雅で感傷的な日本野球 〔新装新版〕 (河出文庫)の感想いつもながらのよくわからない展開。あまり日本論にはなっていないような気がするんだけど。モナド(ボール)…

比較言語学における統計的研究法の可能性について

寺田寅彦のブームがときどきやってくる。このエッセイは昭和3年に書かれたものだが、日本語とマレー後の類似性といったトンデモな話から、分子論拡散論で道筋を示そうとしたり、統計的密度の勾配によって、言語の拡散方向を推定するといった、先見的な発想…

2016年6月の読書

2016年6月の読書メーター読んだ本の数:4冊読んだページ数:1060ページナイス数:8ナイス天崩れ落つる日 (ジャンプスーパーコミックス)の感想これはいままで読んだことがなかった。ほとんどひとりで描いていたことがわかる筆致。ずれるオチも時代をあらわし…

「大統領の最後の恋」

とても厚い本なのに、とても読書時間が短く感じられた小説。久しぶりにまだ終わってくれないで欲しいと思った本。青年時代、中年時代、老年時代の3つの話が並行して進んで収斂していくうちに主人公の心象が浮きあがってくるのは村上春樹の「ハードボイルド…

「帯広まで」林芙美子

「帯広まで」林芙美子 レビュー小舎での踊り子が元夫を追って、帯広までいく話。 強い女の話でもあるし、せつない女の話でもある。 大正なのか昭和なのか時代はわからないが、その陰を色濃く写している、いまでは埋もれてしまった名編ではないかと思う。林芙…

「The Indiffernce Engine」伊藤計劃

「伊藤計劃記録」 「The Indiffernce Engine」伊藤計劃現在的で世界SF的な視野をもっている短篇だと思う。 伊藤計劃は長編の「虐殺機関」しか読んでいない。 既視感のあるサイバー感覚とギミックさが印象に残っているけれど、こうしたバ チガルピやイーガン…

2016年4月の読書

2016年4月の読書メーター読んだ本の数:9冊読んだページ数:2896ページナイス数:10ナイス植草甚一スタイル (コロナ・ブックス (118))の感想ファン・ブックというものだろうか。植草甚一を知らない人向けの編集という感じで大雑把だけど、全頁カラーのためか…

2016年3月の読書

2016年3月の読書メーター読んだ本の数:7冊読んだページ数:1611ページナイス数:6ナイスTOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)の感想トマソンと地続きの傑作。路上生活者の鈴木さんのビニールテントを建築的な?視点で追う痛快作。こういういったルポは必ず同…

ONUKA

キエフのバンド。 ユーズリミックスのようにストレートなポップ。 メロディがきれいで、懐かしい音。 様々な楽器が奏でられ、インスト部分はとてもクラシカルで耳にいいバンド。 ONUKA - YouTube

2016年2月の読書

2016年2月の読書メーター読んだ本の数:6冊読んだページ数:1909ページナイス数:5ナイスわたしたちが孤児だったころ (ハヤカワepi文庫)の感想戦時下という、もはや戦後の日本人にとっては特殊な状況をとてもリアルでグロテスクに、けれども魔術的な幻覚をも…

「復活祭」

非常によくできた短編で、だれかヴィスコンティみたいな映画にしてくれるといいだろうなあと思わせる作品。 アメリカと日本、戦中と戦後の混乱のなかで生きた父娘のすれ違いが、目に浮かぶような描写とともに流れていく。 もうこういう作品は日本人では書け…

「マッサージ療法士ロマン・バーマン」デイヴィッド・ベズモーズギス

堀江敏幸編集の「記憶に残っていること」の冒頭にある短編。 カナダへ移住したロシア系ユダヤ人一家が、新しい地で生活を築いていく姿を描く連作短編集「ナターシャ」から採られている。 苦労して50歳を過ぎてマッサージ治療院を開いた父の客集めに、子供…

2016年1月の読書メーター

2016年1月の読書メーター読んだ本の数:6冊読んだページ数:1460ページナイス数:5ナイスホワイト・ライト (ハヤカワ文庫SF)の感想読み終わったけれど、読めたという気がしない。主人公が神曲の地獄めぐりみたいな彷徨をゴキブリやカントルなんかとするとこ…

「西林図」

鶴鍋という言葉に引かれて読み進むが、ぜんぜん食な話ではない。 タイトルの倪雲林の絵を追うようにだらだらと話が進んでいき、いきなり話が終わってしまう。 ちょっと唐突すぎて、なんの話だったか、思い出せない。 こちらの教養の無さを咎めるべきかもしれ…

アンドレイ・クルコフ(1961年生れ)はロシア語を母語とするウクライナの作家。 日本語を勉強したこともあるという。「あなた方の心にもきっと同じような心の痛みが残るだろうと思います。その痛みから逃れることはできませんし、痛みは記憶の一部となるにち…

「ナポリの日曜日」

まるで椎名誠のような旅エッセイである。 ナポリに行って、小さな街角で楽団の素敵な音楽をコオフイ店で聴いていた、そのときの林芙美子の思い出である。 それに比して日本ではそこかしこにラジオががなりたてていて、近来不快なものはないと言い立てている…

「江差追分」

これも北海道で二ヶ月ぐらい旅したときの、歌に関するエッセイである。 林芙美子は耳がよかったのだろう、と思う。 漁場の男たちが歌っている江差追分を絶賛し、料亭で芸者の江差追分はその足元にも及ばない書き方をしている。 こういう日本の歌は結局、再現…

「丹波丹後路」

夕暮れに百姓たちが水田に牛を追って耕作している図を、まるで絵画のように書き記している。 とても静かでわびしくて、まるでつげ義春の世界である。 こうした旅エッセイは知っている土地の、時代を越えて古いたたずまいを描いているものが面白いし、興味深…

「わが住む界隈」

後年、林芙美子は下落合に住んでいたようだ。 近所の店のこととか、近所の作家、尾崎一雄や吉屋信子などとの行き来を書いたりしている。 なんとなく林芙美子は中央線文化の人といってもおかしくない気もする。文泉堂版林芙美子全集第十巻所収

「田舎がへり」

故郷の尾道へ昔の記憶をたどりながら、自分を振り返る旅のエッセイ。 駅へ向かう雑踏やら尾道までの旅程を内面と重ね合わせながら描く筆致は秀逸である。 最近の人が書く旅エッセイは読者サービスが行き届いているというか、安心して読めるというか、あまり…

「戸隠山」

林芙美子は戸隠が好きでよく行っていたという。 しかし長野駅から戸隠の奥社まで歩いて登ったというのは本当だろうか。 そんなてくてく歩いていたら、すぐに日もくれてしまうだろうに。 こうした特別な場所が好きというのは、林芙美子の小説を読んでいるとよ…

「親不知」

とても短い北陸線親不知の旅を書いたエッセイ。 鯖のさしみは天下一品らしい。 林芙美子も心まで沁みたらしい。 まだ民家の屋根に沢庵石のような重しがのっていた時代の映しである。文泉堂版林芙美子全集第十巻所収

「京都」

京都の庭を語るなど、まだまだ先のことと書いている林芙美子だが、京都の風情をきめ細かさをうまく描いていると思う。 その静かなで趣味のいい人々や風景を自分なりに愛でているのだが、ほんのちょっとした言葉に古都への反抗のような心が見える気がする。 …

「京にも田舎」

周辺雑記。京と東京の比べ物。 龍胆寺雄に失望したって話も書かれているほど雑多な内容。 1935年ぐらいに書かれているから文壇から干されていく問題作「M子への遺書」の話なんだろう。 小林秀雄や川端康成も登場し、文壇の時事ネタをいろいろ推測するのも面…

「放浪記」

林芙美子の原作。 戦前の1935年版。P.C.L.映画製作所製作。 この年はドイツが国際連盟を脱退している。 その暗い時代の雰囲気が出ているのだろうか。 恋と生活に苦しむ主人公である林芙美子を演じたのは夏川静江という女優。 映画のことはなにも知らないので…

「文学・旅・その他」

林芙美子のエッセイが面白いことに気付く。 特に旅のエッセイがいい。 これは岩波文庫にも収められている小編。 長旅は一人旅がいい、とか、小旅行は母とけんかばかりしているとか、講演旅行は最悪だとか。 なんとなく、椎名誠に似ているような気がするのは…

「外国の思ひ出」

パリで生活を綴ったエッセイ。 紅茶がどうとか食べ物がどうとか、パリの日本人とか、憂鬱になってロンドンにいったとか。 とりとめのないことを書いているし、さらりと時の話題とか思えるものも入ってくるし、寝転びながら読むには最適。 林芙美子のエッセイ…