2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

結晶世界

数十年ぶりに読み返す。 前半、こんなに読みやすい冒険譚だったっけ、と驚く。 その昔、何度も舟をこぎながら読んでいた記憶がある。 今回は早川版世界SF全集で読んだので、訳者が違う。 この峯岸久訳が読みやすいのかもしれない。 いまこの作品を読むと、コ…

墓が呼んでいる

「墓が呼んでいる」橘外男 雲仙の隠れ里にクロアチアの美人姉妹が棲んでいるというお話。 いまでも充分に楽しめる悲恋ものであり、歌舞伎とかを台本としている感じで、とても仰々しいが、その感覚がまた古風でよい。 ただ作品の完成度が高いわりに、タイトル…

雷嫌いの話 

「雷嫌いの話」橘外男 私小説のようなエッセイ。あるいはその逆か。 雷についての文化人類学的な雑学を詰め込んでいる。 サービス心が旺盛な楽しめる小品。

生不動

「生不動」橘外男 旅先の北海道での出来事を描いた小品。 なんとなく昭和初期の雰囲気がつげ義春を思い起こす。

葛根湯

「葛根湯」橘外男 外国人との異文化交流というか。 軽い雑誌向けの読みものというか。 単なる暇つぶしのための文なのだが、橘の視線がファンにはうれしい。

棚田裁判長の怪死

「棚田裁判長の怪死」橘外男 英国伝統の怪奇小説に近い雰囲気をもった中編。 心霊的なアプローチはレ・ファニュばりか。 いま読むと確かに古臭いけれど、やはり橘ばりの味がある作品だ。