2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「バーナム博物館」スティーヴン・ミルハウザー

『バーナム博物館』は、表題作をふくむ十の短編を収めた幻想短篇集である。 表題作は、怪奇趣味とノスタルジーで彩られ、街の人々に愛されている、奇妙な博物館を描く「バーナム博物館」。 幻想小説に特有な「迷宮」や「魔法」や「幻影」といったノスタルジ…

澁澤さん家で午後五時にお茶を

「澁澤さん家で午後五時にお茶を」種村季弘幻想文学の二大巨匠といってよいのか、どうか。 文学だけではなく、魔的な絵画や博物誌にまで及ぶのは、このふたりに共通した何かしらである。 その盟友が澁澤龍彦に関する書評やエッセイを一冊にまとめたもの。 19…

行人

「行人」夏目漱石兄弟である弟を語り手に、孤独に生きる兄を描く家族小説。 妻を信じることもできず、妻の愛情を弟に確かめさせるような行動にも出る兄。 高等遊民という言葉でも語られてきた後期三部作であり、「塵労」という仏教用語を使い、厭世的な世界…