2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「戸隠山」

林芙美子は戸隠が好きでよく行っていたという。 しかし長野駅から戸隠の奥社まで歩いて登ったというのは本当だろうか。 そんなてくてく歩いていたら、すぐに日もくれてしまうだろうに。 こうした特別な場所が好きというのは、林芙美子の小説を読んでいるとよ…

「親不知」

とても短い北陸線親不知の旅を書いたエッセイ。 鯖のさしみは天下一品らしい。 林芙美子も心まで沁みたらしい。 まだ民家の屋根に沢庵石のような重しがのっていた時代の映しである。文泉堂版林芙美子全集第十巻所収

「京都」

京都の庭を語るなど、まだまだ先のことと書いている林芙美子だが、京都の風情をきめ細かさをうまく描いていると思う。 その静かなで趣味のいい人々や風景を自分なりに愛でているのだが、ほんのちょっとした言葉に古都への反抗のような心が見える気がする。 …

「京にも田舎」

周辺雑記。京と東京の比べ物。 龍胆寺雄に失望したって話も書かれているほど雑多な内容。 1935年ぐらいに書かれているから文壇から干されていく問題作「M子への遺書」の話なんだろう。 小林秀雄や川端康成も登場し、文壇の時事ネタをいろいろ推測するのも面…

「放浪記」

林芙美子の原作。 戦前の1935年版。P.C.L.映画製作所製作。 この年はドイツが国際連盟を脱退している。 その暗い時代の雰囲気が出ているのだろうか。 恋と生活に苦しむ主人公である林芙美子を演じたのは夏川静江という女優。 映画のことはなにも知らないので…

「文学・旅・その他」

林芙美子のエッセイが面白いことに気付く。 特に旅のエッセイがいい。 これは岩波文庫にも収められている小編。 長旅は一人旅がいい、とか、小旅行は母とけんかばかりしているとか、講演旅行は最悪だとか。 なんとなく、椎名誠に似ているような気がするのは…

「外国の思ひ出」

パリで生活を綴ったエッセイ。 紅茶がどうとか食べ物がどうとか、パリの日本人とか、憂鬱になってロンドンにいったとか。 とりとめのないことを書いているし、さらりと時の話題とか思えるものも入ってくるし、寝転びながら読むには最適。 林芙美子のエッセイ…

「旅つれづれ」

伊豆の下田、長野の戸隠にふれた林芙美子のエッセイ。 伊豆は何度旅行してもいいな、とか、下田で男に生まれればよかったとか。 戸隠にはベルグソンやカントやバイロンを読む哲学青年が泊まっていたらしい。 京都あたりの学生が多かったらしい。 いまはどう…

「春雪」

「春雪」久生十蘭 戦時下の恋、といえばいいのか。 あまりにエキセントリックでプラトニックな光景が描かれている。 話のうまさもあるが文章の流れも不思議な精神図をかいまみせている。 いまの世の中からしたら、それはやはり奇怪なものだろう。 偏向的な精…

「野萩」

「野萩」久生十蘭 戦前と思われる時代に西欧で暮らした日本人の生活が垣間見れる短編。 新青年の作家にふさわしい複雑なストーリーはいまひとつよくわからなかった。 それでも映画のシーンのような優雅さが感じられるのは、魔術師のような言葉使いがもたらし…

2015年12月

2015年12月の読書メーター読んだ本の数:3冊読んだページ数:656ページナイス数:1ナイスセンセイの鞄 2 (アクションコミックス)の感想失望。 ただだらだらと飲んでいてほしかった。 読了日:12月30日 著者:画・谷口ジロー作・川上弘美センセイの鞄 1 (アク…

「予言」

正月はなにか長編を読もうと思っていたけれど、弛れていてダメだった。 この短篇はとてもよくできていて、ホラ話的にひきずりこまれる。 変わった主人公がとても変わった人生に巻き込まれていく、やはり異端作家にふ さわしい内容。 予言をされた通りに人生…

「黄泉から」

非常に戦後まもない雰囲気が色濃くでている十蘭の短篇。 フランス留学時代の記憶も漂う。 話の最後の文章が余韻を誘う。青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/cards/001224/card46077.html 久生十蘭全集第2巻所収 (三一書房)

「海豹島」

久生十蘭の「海豹島」にはなんと8種類の異稿があるらしい。 今日読んだ河出の「久生十蘭・文芸の本棚」には雑誌「妖奇」に発表されたものが掲載されている。 もう何十年も昔に読んだ教養文庫版も異稿のひとつらしい。 しかしこの北方の驚異物語とも言えるロ…

2016年、平成28年だという。 時代が進んでいくにつれて、正月という概念が薄れていく。 ほとんど気持ちも改まった気がしない。 昔はかなり気にしていたものなのに。 家族も年末で掃除が終わらなくて、今日もぼちぼちやっている。 初日の出をみることもなく、…