「予言」

正月はなにか長編を読もうと思っていたけれど、弛れていてダメだった。
この短篇はとてもよくできていて、ホラ話的にひきずりこまれる。
変わった主人公がとても変わった人生に巻き込まれていく、やはり異端作家にふ
さわしい内容。
予言をされた通りに人生が展開されていくのだが、その実はみたいな話もあり、
それでもって万華鏡のような時間の過去と未来を見せてくれる。
さすが、小説の魔術師と言われた十蘭ならではの傑作である。

青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/001224/card46078.html
久生十蘭全集第2巻所収 (三一書房