2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

彼岸過迄

後期3部作の第1作である。 再読だけれど、ほとんど筋を覚えていなかった。 漱石はその序文で、数本の短編が集まってひとつつの長編を構成する作品、だと言っている。 しかし、そんな感じはなく、漱石らしい長編小説、あるいは新聞小説といった風だった。 「…

ニッポンの穴紀行 西牟田靖

ニッポンの穴紀行 近代史を彩る光と影 西牟田靖 「穴」というキーワードで集められた産業遺跡を訪ねる旅というか、雑多な廃墟文集 興味深いものもあるが、退屈なものもある。 読んで興味を持つものもあるが、なんとなく日本の戦争に関する言葉が薄いような気…

「隣接界」

「隣接界」クリストファー プリースト 内容紹介 近未来英国、フリーカメラマンのティボー・タラントは、トルコのアナトリアで反政府主義者の襲撃により最愛の妻メラニーを失ってしまう。住まいであるロンドンに帰るため、海外救援局(OOR)に護送されるタラン…

坑夫

『坑夫』夏目漱石漱石のもとに「自分の身の上にこういう材料があるが小説に書いて下さらんか。その報酬を頂いて実は信州へ行きたいのです」という話を持ちかける出来事が、この小説の発端とされている。 漱石には珍しい、実在の人物の経験を素材としたルポル…

SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと

SF

チャールズ・ユウ物理学的な多次元世界を舞台に父と子の葛藤を描く家族小説。 とでも呼べばよいのだろうか。 とにかく、ヘンな小説であることには間違いない。 面白いかと言われると、多少は。 と答えざるを得ない。 論文を読んでいくような楽しみがある人に…