「春雪」

「春雪」久生十蘭
戦時下の恋、といえばいいのか。
あまりにエキセントリックでプラトニックな光景が描かれている。
話のうまさもあるが文章の流れも不思議な精神図をかいまみせている。
いまの世の中からしたら、それはやはり奇怪なものだろう。
偏向的な精神が生まれる背景には抗いきれない大きな暴力が控えている。
戦争というものは人工的なものであるにも関わらず、人間には御しきれないものなのか。

青空文庫
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久生十蘭全集第2巻所収 (三一書房