「海豹島」

久生十蘭の「海豹島」にはなんと8種類の異稿があるらしい。
今日読んだ河出の「久生十蘭・文芸の本棚」には雑誌「妖奇」に発表されたものが掲載されている。
もう何十年も昔に読んだ教養文庫版も異稿のひとつらしい。
しかしこの北方の驚異物語とも言えるロッペン島のオットセイの話は、ずっとこのかた、夢野久作の短篇だと記憶違いしていた。
教養文庫の異端作家シリーズはほぼ同時期にだいたい読んでいたから、印象の記憶がこんがらがっている。
読んでいるうちにだんだんと話の流れを思い出していったのだが、終わりはどのように迎えたんだっけ?謎解きはしたんだっけ?などとここでも勘違いをしていた。
もう日本人が北方を目指すことはないと思うけど、そうした時代性を背景にもった名作であることには間違いはないと思う。

青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/001224/card46071.html