騎士団長殺し―第1部 顕れるイデア編〔上〕村上春樹
タイトルからすると推理小説なんだけど、村上春樹だからそんなことはなく、謎が謎を呼ぶんだけど、解決には向かわず、話がどんどん拡散していく。
村上春樹の小説に特有の井戸のような深い穴も出現する。
さらに途中からイデアなるモノが登場し、怪奇小説的な展開にもなっていく。
そんな舞台に様々な人間の葛藤が描かれ、異界と現実に境界がなくなっていく。
著者の年齢とともに登場人物たちも落ち着いた人々に変わっているような気もする。
主人公は老齢ではないけど、老人小説のような気がしないでもない。