フランケンシュタイン対地底怪獣
「フランケンシュタイン対地底怪獣」あるいは「フランケンシュタイン対バラゴン」
はじめて見たが、そもそも人間が素手で怪獣と闘う、というやり方もあったのか、という素直さにびっくりする。
これは西洋文学の伝統的なアラビアンナイトのカリカチュアでもあるし、ガリバーの踏襲でもあると思う。
そもそもアメリカ版映画でのフランケンシュタインは「ガルガンチュア」と呼ばれている。
あのラブレーゆずりなのである。
たしかにこの映画でのフランケンシュタインはいつでもお腹を空かせている。
なんでも飲み込むガルガンチュアらしく、フランケンシュタインの手は切り落とされても、自律して生命活動を維持できるのだ。
いま見るとこの映画は適当ないい加減さに満ちているが、それは敗戦という非業な影が押し出していることに嫌がうえでも伝わってくる。
そこにあるのは戦争を仕掛けた国であるにも関わらず、対戦国のことがまったくわかっていないことが、バラゴンという謎の怪獣を通して非難しているのではないかと思えてくる。
竹槍で戦おうとしていた日本人は、アメリカ人をバラゴンのような不可知な怪獣をイメージしていたのではないかと思う。