Top Ten Slipstream Books/Chris Priest

Top Ten Slipstream Books/The Guardian, May 2003

スリップストリームがどんなものかについてプリーストは、マジック・リアリズムを持ち出していますが、それをも含んだ大きなコンセプトだと言っています。
私はマジック・リアリズムとは年代的に切り離されているとともに、現在からの逆照射な構成と工夫が成されているのが、スリップストリームだと思っていたけれど、プリーストはボルヘス分水嶺として遡れるカテゴリーとしているようです。

プリーストがスリップストリームの代表作として挙げているのは、マーガレット・アトウッドの「侍女の物語」です。
近未来のアメリカにキリスト教原理主義勢力によって誕生した宗教国家を背景にした、なんとなくニューウェーブSFみたいな雰囲気の小説です。
まあ、プリーストもそこの出ですから、親近感があるのでしょう。
日本でも当時は話題になった本ですが、文庫本含め、品切れになっている模様です。

その他に挙げている作家の名前として、アンソニー・バージェス村上春樹ドン・デリーロガルシア・マルケスジョン・バンヴィルジョン・ファウルズポール・オースター、ディーノ・ブッツァーティが並びます。
英国の作家らしいリストだと思います。

▼Top Ten Slipstream Books/Chris Priest
1.『ボルヘスとわたし -自撰短篇集』ボルヘス
2.『クラッシュ』バラード
3.『The Passion of New Eve』アンジェラ・カーター
4.『Girlfriend in a Coma』ダグラス・クープラン
5.『真夜中に海がやってきた』スティーヴ・エリクソン
6.『ライト』ジョン・ハリスン
7.『氷』アンナ・カヴァン
8.『庭師 ただそこにいるだけの人』ジャージ・コジンスキー
9.『ナイフ投げ師』スティーヴン・ミルハウザー
10.『シュルツ全小説』ブルーノ・シュルツ