「スタンス・ドット」堀江敏幸 (2002)
心に染みていく、心に残る、とても静かで深い処に連れて行かれる短編。
中年から老年に差し掛かる男の話で、日常の些細な光景から過去の陰影が語られる流れがとても自然で印象に残る。
この小さなボーリング場を営んできた男が、終にその店を閉める時に交わされたとても小さな邂逅がとても現実的でありながら、とても映画的な光景を結んでいる。
新しい作家なのにとても古風で文学的な小説を書く人だと思う。

雪沼とその周辺 (新潮文庫)

雪沼とその周辺 (新潮文庫)