熊の敷石 (講談社文庫)

熊の敷石 (講談社文庫)

「熊の敷石」堀江敏幸
フランスの片田舎で語られる古い友人との対話を中心に、静かな日常を描いた中篇。
この作家特有の「これから何かが起きるのだろう」と思うところで話が終わってしまう。
読んでいる最中はとても心地よい時間が味わえるのでいつもそんな記憶が残ってしまうのだろう。
でもこの作家はもともと短編小説家なのだろう。
どうも長編小説ばかりが小説の中心だと思っている偏向から抜け出さないといけないと思う。
そうでなければ、こうした良質な小説を読むことがどんどん難しくなってくる。
この中篇も静かな空間が漂っている良質な小説である。