メシメリ街道

山野浩一「メシメリ街道」を読む。
続けて筒井康隆編集の「'72日本SFベスト集成」の山野浩一「メシメリ街道」を読む。
これは昔、SFにはまっていた頃、「殺人者の空」で読んだ。

当時はこれをニューウェイブとは捉えていなくて、この自分たちが住む近所、あるいは自分のすぐ隣に異次元や異世界とつながっている、
といった話はSF作家にかぎらず、日本作家に共通した題材であり、雰囲気だったと思う。
突然、道路がなかった場所に、メシメリ街道が出現する。
この道路には、横断歩道も歩道橋も信号もなく、向かい側に渡ることができない。
時刻も正午のまま停止しており、警察官、市役所の役人との会話もカフカっぽく、不条理である。
このメシメリ街道という巨大な道路が、当時の工業化社会の人間味のない未来やコンピューターが支配する世の中のような描かれ方をしている。
1970年代に書かれた小説はこの時代の雰囲気を漂わせていると思う。

SFマガジン」1973年2月号所収らしい