「ゆっくりゆっくり笑顔になりたい」

「ゆっくりゆっくり笑顔になりたい」
―知的発達障害のある人にスポーツの場を提供するスペシャルオリンピックスという活動―
大宰 由紀子 (著), スペシャルオリンピックス日本

休日に末娘と遊んでいると、ふと思うときがある。
発達障害のある人と同じ高さの目線になるにはどうすればよいのか、と。
末娘は、うまく自分がしたいことを伝えられないので、なぜ自分と同じ目線になってくれないの?
と言っているのがわかるときがある。
そういう時々がひどく寂しい。
自分のすることに関心をもってほしいというのは、人間誰でもそうだし、ネット社会になってから更に増大していると思う。
それらが歪に正当化されているのが余計に腹立たしい。
いま世の中は景気が悪いことを隠れ蓑として、昔より傲慢な社会になっているような気がする。

この本にはさまざまな障害をもつ子どもからのコミュニケーションの発信をどう受け取るか、
どう対応すればよいか、スポーツという媒体を通して具体的にインタビューされている。
そして日本の元ファーストレディが立ち上げたスペシャルオリンピックスの創世の話も入っている。
こういう人たちも日本にいるのだから、局所的に物事を眺めて悲壮さに耽るのは止めたほうがよい。
いまの世の中、複雑に細分化された分、希望もどこかには必ずあるのだと思う。

http://www.son.or.jp/index.html:スペシャルオリンピックス日本