「障害児と教育」茂木俊彦
教育という立場から、障がいを持った子供にどう接していくべきなのかを考えている本。
肯ける部分が多い。
真剣に考えていることも伺える。
ためになることも多い。
それでも「模範的」過ぎるところがよくないのか、どうしても教育委員会的な発言に聞こえてしまうところもある。
いやそんなことは些細なことかも知れない。
いまの訓練主義、つまり施設で働くことだけを主眼とした、学校を工場として見立てて行う教育にまっすぐに反対していることは、とてもうれしい。
人生はとても長いのだから、学校にいる間は知識とか勉強することとはなんなのか、そうした人間的なことをゆっくり教えてあげて欲しいと思う。
障がいを持っている子供は成長がゆっくりなのだから、義務教育が終わったあと、専門学校的に職業訓練をしても十分間に合うのではないかと思う。
健常な人が「世の中のためになる人になるには?」なんてことを考えると、ろくなことにならないのではないかとも思う。

岩波書店