「ナボコフ短篇全集・1&2」ウラジミール・ナボコフ
作品社
『ロリータ』によって、世界中にセンセーションを巻き起こしたナボコフは、20世紀文学における輝かしい成果として多くの作家に影響を与えましたが、昨年の生誕100年を機に、ますますその評価が高まっています。ロシアに生まれ、亡命後にもロシア語で執筆を続けながら、後に英語作家に転じたナボコフは「バイリンガル作家」「ポリグロット作家」などと呼ばれ、言語の壁を越えた活躍を示した作家です。日本においてもロシア文学、英文学双方からの研究がなされてきましたが、これまでは互いの交流は乏しく、個別的な研究に終始していたのが現状でした。こうした壁を壊してこそ真のナボコフ研究となるということで、昨年設立されたのが「日本ナボコフ協会」です。本短編全集は、同協会会員の露英文学者の協力のもと、ナボコフが生涯において書いた全65編の短編を余すことなく網羅し、これまで英語テキストのみによって訳されたものを、ロシア語テキストの両方を参照し、ロシア語テキストに秘められたナボコフの魔術的言語がはじめて日本語となるという画期的なものです。
【目次】
序 ドミトリイ・ナボコフ
森の精
ロシア語、話します
響き
翼の一撃
神々
偶然
港
復讐
恩恵
ある日没の細部
雷雨
ラ・ヴェネツィアーナ
バッハマン
ドラゴン
クリスマス
ロシアに届かなかった手紙
けんか
チョーブルの帰還
ベルリン案内
おとぎ話
恐怖
剃刀
乗客
呼び鈴
名誉の問題
クリスマス物語
じゃがいもエルフ
オーレリアン
さっそうたる男
悪い日
博物館への訪問
忙しい男
未踏の地
再会
重ねた唇注釈
解説 諫早勇一
作品社ホームページ
https://www.tssplaza.co.jp/sakuhinsha/book/index.html