「新しい人よ目覚めよ」大江健三郎
やはり障害のある息子を持つ父親の内的な葛藤と家族との対話の物語といってよいのか。
果たしてこれが小説なんだろうかと思ったりするが、小説家と彼らの家族との様相がその時代の出来事と合いまり、現実を現実以上の形相として描きだしている。
こうした小説は分析的に読むことはできず、自分たちとの相似点を通して静かな想像へと降りていく。
感動とは違う、世界の複雑さを体験する、現実という物語。