死の鳥

死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)
ハーラン・エリスン
伊藤典夫 (翻訳)

【感想】
伝説のアメリカSF作家による短編集。
どうして今までエリスンの本は出てなかったのだろう。
そして今になって急に出始めたのはなぜなのか。
突拍子もない発想や展開は日本人好みのような気もするのだが。それとも時代が変わったのだろうか。
ニュー・ウェーブという言葉がエリスンの面白さを打ち消していたのかもしれない。
それでも共通している雰囲気は、男性的な世界観が多いというところが、時代を現していると思う。
その観点で見直すとやはり古さを感じる。

とにもかくにもこの短編集に収録されている話は傑作揃い。
「死の鳥」はSFでしか表現できない数奇な人間を描いているし、「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」はいまのコンピュータ・ネットワークが作り出す未来であってもおかくない気がしてくる。
読後に印象に残るものが多く、次の「ヒトラーの描いた薔薇」も楽しみ。

【内容(「BOOK」データベースより)】
25万年の眠りののち、病み衰えた惑星“地球”によみがえった男の数奇な運命を描き、ヒューゴー賞/ローカス賞に輝いた表題作「死の鳥」、コンピュータ内部に閉じこめられた男女の驚異の物語―「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」、初期の代表作「「悔い改めよ、ハーレクィン!」とチクタクマンはいった」など、半世紀にわたり、アメリカSF界に君臨するレジェンドの、代表作10篇を収録した日本オリジナル傑作選。