「電車居住者」

大正12年。十蘭、21才の作品。
最初期の作品らしい。ペダンティックな単語が綴られるあたりは、既に十蘭である。
内容的には関東大震災の直後に書かれたものらしく、荒廃した世界で電車のなか
で暮らす人々を描いている。
主人公が寄る辺ない娘の未来を心配する姿が胸を打つ。