時計まわりで迂回すること

時計まわりで迂回すること - 回送電車V

時計まわりで迂回すること - 回送電車V

中央公論新社の「回送電車」シリーズの五巻目。
前半はいつものゆったりとした日常的なエッセイが続く。
このトーンが好きで読みつづけている読者は多いだろう。
なんのやくにも立たない、ただぽっかりとした空の下で起こるくだらない人間の営みが愛おしく感じられて気持ちいい。
いわゆる息抜きというやつだ。
しかし後半はこの著者には珍しく熱い文章が登場する。
そこには明哲な人物が何人も登場する。
ベッケンバウワーやらジダンとか。
こんなにもサッカーがすきだったんだ、という意外さ。
いや、何度かこの著者のそういう文章は読んだことはある。
しかし、こんなに熱かったっけ。
まあいいや、面白ければ。
でも、いつもと違う堀江敏幸に戸惑った感じで、変な読後感が残った。