「海の御墓」曽野綾子

英国貴族に仕える執事の物語を書いたカズオ・イシグロを遡ること半世紀前に、日本の戦争の中に没していった英国貴族を描いた短編。
なぜ日本人はかくも幼稚になったのかと嘆く評論家が登場するのも頷かれるほど、かつての日本の貴族にもそして英国貴族にも
教養や徳性を身に付けた人間性の高い「紳士」が存在した。
曽野綾子はつぶさに彼らが時代にのみ込まれていく黄昏を描いている。
珠玉の短編。