「メイド・イン・ジャパン」城山三郎

戦後、日本製品の評価が低い頃の話である。
いまは日本製は高過ぎて買い手がなくなっている時代から見ると、既に先史時代の美談として読んでしまう。
この頃はまだ企業戦士などという匿名性もなく、個人の苦労が身に染みて堪えてくる。
いつの時代でも個人にとって世界は複雑であり、面倒なものであるが、変わらないのは個人の心性のやっかいさにある。