「振り子で言葉を探るように」堀江敏幸

著者は20世紀最後の文学者と呼ばれている絶滅危惧種
昭和の文人のようにきめ細かく丹念な文章を書く著者の書評集。
映画「エル・スール」の登場人物のように、「振り子を用いて地下水の在処を探り当てる不思議な力」のように、本に書かれてある言葉を探し当てるように静かに読み解いていく文章は絹に触れるが如く、とても心地がいい。
まるで水脈を探し当てるように、他人の言葉を本の中に探していくのだ。
フランス文学者なのでそちらの本が多いが、いわゆるマイナーポエットのような日本の現代の小説にも触れている。
その傾向は実際に手にして確かめてほしいが、読後には、これほど粒揃いの小説を読みこなした土壌の上にこの作家の小説も出来上がっているのだなあという、感慨が湧いてくる。

振り子で言葉を探るように

振り子で言葉を探るように