「猫がラジオを聴いていたころ」瀬川深

猫というラジオネームを使っていた青年が岬に帰ってくるところから始まる、回想譚。
『ミサキラヂオ』より先に文芸誌に載せられた一編のため、その原型かと思っていたが、独立した短編。
独特な雰囲気の岬の世界での出来事を回想していく様は、21世紀に入って流行り始めた昭和回想もののノスタルジックな小説群と似通っている。

「群像」2008/4月号