河岸段丘堀江敏幸
小さな町工場を営む六十代の夫婦の話。
夫は工場の古い機械がおかしく感じられ、これも古くから付き合いのある六十代の修理工に見てもらうことを頼むのだが、どちらも年老いて小さくなってしまい、ふと人生の終わりを感じさせるのだが、それらを慈しむ文章がとても心に入り込んでくる。
静かな土地には年老いた人々が住む。
当たり前のことをとても深くて静かな場所で語りかける、現在の日本の光景。

「雪沼とその周辺」所収