「眼の皮膚」井上光晴
なんとなく日常のある家庭を描いているようで、その空気がぜんぜん違う。
日本的な内向きに引っ込んだ光景に流れず、どこかほかの国の空気と通じている感じがする。
そこには海がなく、国境があり、そのまま陸地伝いにどこか余所の国の言葉を喋る人たちが住んでいるような空気が流れている。
その空気が井上光晴の小説なんだと思う。