「待ち受ける場所」バラード

「待ち受ける場所」バラード

外宇宙の惑星を舞台にした内宇宙の侵攻を描いたようなアンビバレンツな展開が進む、文学的な短篇、とでも言えばいいのだろうか。宇宙に発展していった人類であったのであれば、確かに精神的な課題は数多いはず。多国籍企業の社員のような趣きか。それをこの遥かな時代に想像していたバラードはやはり桁違い。まるでレムの小説のようでもある。バラードとレムは互いに意識していたのだろうか。そのあたりを知りたいところでもある。翻訳は柳下毅一郎で、とても読みやすい。解題ではイーガンを出しているが、この生真面目さはやはりレムだろうと思う。