「関係の原的負荷」加藤典洋

「関係の原的負荷」加藤典洋

親殺しが増えている現在から、文学的な痕跡をもとに現在を辿ろうとしてる。
志賀直哉「和解」と沢木耕太郎「無名」の類似性と作家の出自をもとに彼らの文
学の類似性をたどっていく。
いくぶんにも関係性のこじつけのような気が多分にしてしまうぐらいの典拠性な
ので、なんとも言えない。
しかし、現在のひとつのベクトルではあるのかも知れないと、合わせて「海辺の
カフカ村上春樹を持ち出すところで興味は沸いてくる。
しかしそれよりも岩明均寄生獣」をことあるごとに持ち出すのが、興醒めだ。
とはいえ、このマンガを読んでいない自分としては、どこまでそれが「親殺し」
と連関しているのかわからない。
そもそもは「父親殺し」の話しをしていたのが、いつのまか母親にたどり着いて
いく親殺しへの変換がよくわからない。
大学の先生が書くような評論としては中途半端な感じで放り出した。