舞踏会へ向かう三人の農夫 リチャード パワーズ

舞踏会へ向かう三人の農夫

舞踏会へ向かう三人の農夫

20世紀とは一体いかなる時代であったのか。
現代アメリカ文学きっての鬼才、リチャード・パワーズが血と殺戮の20世紀を根源から問う処女作。
これはほとんど物語ではなく、西洋伝統のエセーのような自分の書きたいことをえんえんと連ねている駄文。
駄文というと聡明な知性の持ち主には怒られるが、いまの日本のような忘却こそ人生の経世だという諦念とは大きくかけ離れた思索小説である。
とにかく読むのが辛かった。
面白いと思える歳ではなくなった。
やはり前衛は若いころに読むのに限ると思った。
ピンチョンを読んで今でもおもしろいと思えるのは若かりしころに読みこんだからなのだろうか。
パワーズとピンチョンでは知性の土壌がかなり違うように思うのだが、その違いがいまではもうよくわからない。
わかろうとする思いがない。