「貧乏暇あり―札幌古本屋日記」須賀章雅

「貧乏暇あり―札幌古本屋日記」須賀章雅

貧乏暇あり―札幌古本屋日記

貧乏暇あり―札幌古本屋日記

札幌で通信販売専門の古書店を開いている店主による日常生活を書いたブログを書籍化したもの。
2005年から2011年まで延々と朝夕の食事、古本受注、同業者のアルバイトや飲み会での出来事が綴られています。
自宅に大量の古本を置いているため、奥さんは押入れで寝ている。
そんな悲壮な貧乏生活が描かれているのをひたすら読んでいると、これは無頼派私小説だなあと思う。
無頼派と言えば、借金を踏み倒したり、人妻と逃避行をしたり、東南アジアに逃げたりするものだけれど、
筆者はひたすら生活を支え、苦悶しながらも、おいしそうな刺身を食べ、酒を飲む。
すごく真面目な人が古本屋という魔窟に魅せられてしまった感じの不思議さがある。
筆者が詩人でもあるところが、この日記を文学的な雰囲気にしているのだろう。
この本の出版を機に、西村賢太のように売れてくれるのを願わずにいられません。