神秘 (紙ジャケット仕様)

神秘 (紙ジャケット仕様)

このアルバム制作段階でシド・バレットはドラッグによる荒廃的な状態のため(シドは音楽雑誌ではいつもこうした表現で紹介されていた)、フロイドを離脱することとなった。
いま聞くと、前作の「夜明けの口笛吹き」の雰囲気と高年のロジャー・ウォーターズの大曲指向、そしてこの時代だけに聞くことができる英国トラッドな歌が混ざり合っている。
私はこの時代のフロイドのビートルズぽい英国風な歌が好きだ。
60年代から70年代にかけて、いろんな国でビートルズの影響を換骨奪胎したバンドが出てきた。
イタリアのイ・プーや日本のはっぴいえんどなどがそうで、フロイド同様にいまでも聞くことがある。
それらはとてもシンプルな分、聞き手に要求される圧力がないのがよいところだ。
プログレと呼ばれるジャンル音楽がときに辛くなるのはその強い自己追求性のためで、これは年を取ると結構辛い。
音楽的には荒削りでも、とても安心して聞けるのである。
ProgressiveRock-003