「光る風」上下 山上たつひこ

確かに傑作だった。
若いころに読んでいれば深い印象を抱えていたに違いない。
少年マガジンに連載していたというから、かなりの人が影響というかトラウマを持っているのだろう。
1970年連載というから自分が少年マガジンを読み始める前だったのだろう。
これほどの傑作だからいろんな人が薦めていたけれど、よみたくても本が手にはいらなかったから、今頃こうして読んでいるのだ。
サン・コミックスという、当時はマイナーな出版社で単行本にまとめられたのは、政治色が強すぎるからなのか、絵がマイナー過ぎるのか、売れないと思ったのか、いろんな要素があって講談社からは出なかったのだろう。
過激という意味では同じだが永井豪山上たつひこの違いは、郊外と土着というか、日本という風土をどのように見ているかで、こんなにも表現が違うということなのだろう。
あるいは書物と映像がもつインスピレーションの違いが随所に作品中に現れているということだろうか。
ようやくこの初期傑作を読んだところで、山上たつひこの晩年に書かれた小説を読んでもいいような気になった。

光る風

光る風