アマチュアたち (現代アメリカ文学叢書)

アマチュアたち (現代アメリカ文学叢書)

「アマチュアたち」バーセルミ
やはり今読んでもいまひとつピンとこなかった。
1980年代に一度読んでいるのだが、そのときよりは最近の小説を読んでいるような気にもなった。
ケリー・リンクを読んだあと、またあの変な感覚を味わいたいと思って、古い文庫本を引っ張り出したのだが、やっぱりまだ変だった。
変なんだけど、いまではもう素朴と思える感覚に変化していて、田舎のいまにも潰れそうなバス停の小さな小屋の長椅子に座って、i-podでデウ゛ッド・ボウイ
を聞いてる感じ、とでも言えばよいか。
それはあまりにありふれた光景となってしまっていて、趣味的な違和感ぐらいしか感じない。
バーセルミが用意した、たくさんの断片が意図しない複雑さと面白さを保っているのは、その普遍的な先見性なのだろう。
それは最近で言えば、かっぱ寿司のCMのように、地上に降りてきた火星人よりも一皿80円の値段に驚くような感覚を、既に70年代の資本主義の胎動期に描きだしていたことにある。
それを、かっこいいという感覚として捉えてしまうのは、やはり読者の方もひねくれているからに違いない。