送り火堀江敏幸

歳の離れた夫婦にできた子供が大雨に飲まれて失われた話。
幸福と不幸を背負うことに身をつまされる。
子供を亡くすという忘れられない記憶が、いくら時が移ろっていっても後悔の中から色褪せない空虚を描いている。
悲しくてやり切れない思いというのはいつまでも消えることはないのだろう。

「雪沼とその周辺」所収