イラクサの庭堀」堀江敏幸
雪沼に移住した謎の女性をめぐるお話。
小さなレストランを営み、小さな料理教室を開いていた女性が亡くなる。
それまで彼女のことをよく知らなかった隣人たちがその片鱗を浮き上がらせるように小さな出来事を語り始める。
なんとなくフォークナーの「エミリーの薔薇」を思い出す。
ただそんな悲惨めいたお話では全くないのだけれど。
静かにその光景が心に残るという意味で似ているのかも。

「雪沼とその周辺」所収