「コーラルDの雲の彫刻師」 J・G・バラード/浅倉久志
SFMの再録。
これまた懐かしい「ヴァーミリオン・サイズ」の冒頭短編。
柳下毅一郎の解説ではこの本のファンが多いらしい。
頷ける、というか自分が好きな傾向はこれや「結晶世界」。
いまでもこの雲で彫刻を作るというアイディアには驚嘆する。
でもいづれ現実となる日も来るのだろう。
でもその彫刻のイメージにダリを持ってくるのが、バラードなのである。
シュールレアリズムとSF。
ともに当時は異端だった。いまは双方とも歴史となった。
ダリの雲のイメージは、「メランコリー」あたりが題材だったのだろうか。
不吉で激しい雲を描くのが得意だったダリの空が蘇ってくるような傑作短編。