【武州公秘話】

武州公秘話 (中公文庫)

武州公秘話 (中公文庫)

驚くほどに、伝奇小説である。
谷崎がこういうファンタスティックな伝奇を書いていたとは。
もちろん谷崎ならではのグロテスクな光景もふんだんにある。
ただ文豪が書くとこんなにも伝奇小説が艶めかしくなるとは。
こういう比較でよいのかわからないが、現代作家の伝奇と比べると、アニメと映画ほどの差がありそうな。
それほどまでに緻密な描写がリアリティの高い雰囲気を醸し出しているのだ。
この小説は伝奇読みには必読だ。