国枝史郎ベスト・セレクション

はじめて私が「伝奇小説」という言葉とともに読み込んだのが、半村良の「妖星伝」である。
正確には伝奇SFというジャンルのネーミングが講談社文庫の帯にはされていたと思う。
高校生のときに読んだこの本がすべてのスタートであり、私の伝奇小説観の基礎となっている。

その後さまざま小説を読むうちに国枝史郎という作家がいたことを知る。
まあ当然のなりゆきである。
ただその当時も今も国枝史郎の本は簡単には手にはいらない。
講談社文庫ではじまった「大衆文芸館」というシリーズで高名な「神州纐纈城」が読めたぐらいで、いまは新刊書店で手に入れることができる学研文庫の「国枝史郎集」ぐらいとそうたいして状況は変わっていない。
ただ未知谷という変わった名前の出版社から国枝史郎全集が出ているため、かつての流行作家としての人気がまったくないというわけではなく、コアなファンは多く存在するものと思える。
この大御所のふたりを伝奇作家とすることにあまり異はないと思えるが、それでもふたりの作家はタ様な小説を書いており、伝奇小説はその一部といった方が正しい。

国枝史郎ベスト・セレクション
国枝 史郎著 / 東 雅夫編
学研 (2001.11)
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