「大正・昭和のブックデザイン」松原正世 ピエ・ブックス

まだまだ本が読めない。
仕事はまだ本格的に忙しいわけではないのだけど、本を読む時間がない。
通勤の電車の中では新聞か仕事の本を読んでいる。
この「レトロでモダンな書籍・雑誌の装丁デザイン」という副題がついた画集大の本は見ているだけで楽しいので、仕事から帰ってきてパラパラやるのに適している。
それに新しい発見もある。
まあモダンと言えば高畠華宵竹久夢二なんだけど、杉浦非水はあらためて見ると、凄い。
前者の画家たちよりはるかにオーソドックスなんだけど、そのデザイン感覚はずばぬけている。
新しいというより、感覚が鋭い、といった感じ。
もちろん同じ頃にロシア構成主義から影響を受けた画家に比べるとインパクトが低いんだけど、オリジナリティが数段に上なのでこういう画集となると味わい深さに差がでるんだよね。
そういう意味では藤田嗣治の装丁したフラビエの「母の手」という本は、そのデッサンがシンプルすぎるがゆえにいとおしくて、手に入れたくなる。
子供だましのような西洋画を見ながら描いたような装丁に比べると、オリジナリティは雲泥の差だ。
日本人は猿真似が得意だといったのは誰だろう。
それを真に受けて信じていた私はバカたった。

大正・昭和のブックデザイン