村上春樹『騎士団長殺し』 第2部「遷ろうメタファー編」

読み進むうちにこれは「ねじまき鳥クロニクル」の続編だという思いが湧き上がってきた。
どちらの作品も「穴」を通して、現実と非現実を結ぶ通路が開かれる。
そこから本質的に物語は異貌の世界へ変容していく。
どこかで村上春樹も「ねじまき鳥クロニクル」は書いても書いても終わらない、という話をしていたような記憶がある。
そして「騎士団長殺し」の私とユズとの再会は、「ねじまき鳥クロニクル」での僕とクミコの離別からの遠い距離がようやく繋がり、物語の円環が閉じたような気がする。