フーコーの振り子」上巻 エーコ
若い頃なら喜んで読んだであろう、オカルト好きな人々がわいわい騒ぐお話し。
しかしそこはイタリア人。
日本人や米国人が書くような深刻なオカルト小説にはならず、とたも肉感的というか地に足が着いているというか、幻覚的ではまつたくないところがよい。
もったいぶっている人物はいかにもつまらない筆致であほ扱いされている。
なんとなくエーコの書く小説というのは前世紀に全盛だった南米文学を連想する。
コルタサルとかボルヘスとかね。
同じラテンなんだから当たり前でしょう、という評論家とかいるだろうけど、メンタリティというものでひとくくりにできるのが世界文学というレッテルのいい加減さでしょう。