【砂漠の惑星】

久しぶりにレムを読み返す。
でもほとんど覚えていなかったのだけれど、こんなに難しい話だったっけ?
という感じ。
こっちが年取ってもやはりレムはよくわからない。
昔はソビエト圏のSFとして読んでいたけれど、今はそうではなく存在論を現実に照らすとどうなるのか?といった直球的な文学という感じ。
昔はこういう硬質的な雰囲気もソビエト文学の片鱗として形作っていたんだろうなあ。
この小説のロシア語の原題は「無敵」という意味らしい。
絶対的な存在、あるいは宇宙人という無限に不明な存在を表すのか、意味深いタイトルで、今的にはこっちの方がいいんだろうなあ。
解説の上遠野浩平が「文学としてもチェホフの『決闘』並のベストに近い」と評している。
やはり文学的な格が違うので、新しいファンもどんどん付く作家なのだろうね。
それでも日本ではマイナーなので、今回の追悼による再発以降は手に入れるのが難しくなってきそうな作家ではあるけれど。

6年前に消息をたった宇宙巡洋艦コンドル号探索のため〈砂漠の惑星〉に降り立った無敵号が発見したのは、無残に傾きそそりたつ変わり果てた船体だった。生存者なし。攻撃を受けた形跡はなく、防御機構もそのまま残され、ただ船内だけが驚くべき混乱状態にあった。果てなく続く風紋、死と荒廃の風の吹き抜ける奇怪な〈都市〉、偵察機を襲う〈黒雲〉、そして金属の〈植物〉……探検隊はこの謎に満ちた異星の探査を続けるが

「砂漠の惑星」スタニスワフ・レム 早川文庫
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/11566.html