宇能鴻一郎を少し、ネットで調べてみると、かなり意外。
官能小説から始めた人ではなく、もともと東大大学院国文科に在籍中に「鯨神」で昭和36年下期の第46回芥川賞を受賞している。
その後、「地獄銛」「閻浮の秋」等の純文学作品を発表するが、次第に「密戯」「痺楽」「痴戯」「逸楽」「魔楽」等の官能作品へ転向していったらしい。
その転向のきっかけが、三島由紀夫の自決だったらしい。
この人自身に興味があるのだが、自伝とかあるのかわからない。
そのうちに誰か伝記でも書いてくれるまで待たねばならないか。
その独特な女性独白体は、案外と誰でも話題にするが、私はスポーツ新聞以外で読んだことがない。
果たして、山口椿三島由紀夫と同衾のような気もしてきたが、どうなのだろう。
ただ、なんとなく、イメージ的にはそちらの禁色よりは、「痴人の愛」の谷崎潤一郎に近いような気もする。
悪魔主義」を見つけた谷崎潤一郎のように、宇能鴻一郎は「官能主義」を見つけたのかも知れない。