SFマガジン2010年6月号 特集:スチームパンク・リローデッド』 
小川隆の先導によるスチームパンクの特集。
ファッションとしてのスチームパンク流行を追っているような雰囲気が全面に出ている感じ。
それはそれでわくわくするものがあって、ネットであちこちのサイトを見てまわるのは面白かった。
でも翻訳紹介されている短編はちょっといまひとつだった。

[掲載作品]
『ハノーヴァーの修復』(ジェフ・ヴァンダーミア)
自分の発明が戦争に使われるのが嫌になって「帝国」を脱走した男が、ある小さな村にたどり着き、機械の修理屋として静かに暮らしていた。
好いた女性とのやりとりが傍らにあり、そこへ壊れた機械人形が持ち込まれる。
嫌な予感を覚えながらも男は機械人形を修理してしまうことにより、「帝国」からの軍隊が来襲する。
軍隊は村を滅ぼし、残ったのは男とただ生きることに必死の女性だけが残った、という話。
サブジャンルの小説としてはよくできているんだけど、どこか同人誌的なレベルとも感じてしまう。
それでも他の訳出短編のなかではいちばん面白かったから、やはりスチームパンクは映像やファッションとして先行している趣きがあるのだろうな。

『愚者の連鎖』(ジェイ・レイク)
『タングルフット ぜんまい仕掛けの世紀』(シェリー・プリースト)
『砕けたティーカップ モーリス・ニューベリーの事件簿』(ジョージ・マン)

[特集記事]
『もうひとつの十九世紀 つきせぬスチームパンクの魅力』(ネイダー・エルヘフナウ)
『コルセット宣言』(キャサリン・ケイシー)
スチームパンクサウンドトラックって何?』(ブライアン・スラタリー)
スチームパンク・ブックガイド』(卯月鮎、尾之上俊彦、柏崎玲央奈三村美衣
『特集解説』(小川隆