イアン・マクラウドの読み残した短編いくつかを読む。
「転落のイザベル」は異星の地の話なのだが、中世のイングランドの片田舎に
ある修道院での出来事を描いた話のようでもある。
「息吹き苔」オーソドックスな少女の恋と成長の物語。
すべて印象に残るわけではないが、その肌理やかな感情を描く筆致がとても心地よい。
それでもやはりこの短編集のなかでは、タイトルの「夏の涯ての島」と「帰還」が秀逸。

夏の涯ての島 (プラチナ・ファンタジイ)

夏の涯ての島 (プラチナ・ファンタジイ)

『夏の涯ての島』所収
著者:イアン・R.マクラウド/著 浅倉久志/〔ほか〕訳 出版社名:早川書房 シリーズ名:プラチナ・ファンタジイ 発行年月:2008年01月
SF界きっての短篇の名手による、世界幻想文学大賞受賞の表題作など綺羅星の如き七篇を収録。